2006 Fiscal Year Annual Research Report
銅アセチリド分子の自己組織化を用いたナノワイヤー合成法の確立と応用展開
Project/Area Number |
17710080
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
十代 健 分子科学研究所, 電子構造研究系, 助手 (60317302)
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Keywords | ナノワイヤー / 自己組織化 / 銅アセチリド / クラスター |
Research Abstract |
本年度は銅アセチリドナノワイヤーの化学変換過程の最適化を主に行った。17年度の研究により塩化銅のアンモニア水溶液中にアセチレンガスを導入するだけで、銅アセチリド分子が自己組織的にナノワイヤー形状へと結晶成長し、非常に簡便な方法でナノワイヤーを得る方法論を確立している。しかし、銅アセチリド分子は爆発性を有する分子として古くから知られている。そのため、銅アセチリドナノワイヤーのままでは不安定であり応用展開も限られている。爆発させずにより安定な化合物へと化学変換させる条件を探ったところ、真空中で比較的低温である100℃前後の加熱により、銅アセチリドナノワイヤー中の銅元素と炭素元素の分離が起こることを見出した。自己組織化によって得られたナノワイヤーから化学変換をすることによって、銅ナノワイヤーをアモルファス炭素で被覆したナノサイズのケーブル状の物質(ナノケーブル)を得ることに成功した。電子顕微鏡による観測では、ナノケーブルの直径方向に、銅原子が8個程度しか並んでおらず、非常に細い金属ナノワイヤーの作成方法の確立である。一般的にこれほど細い金属ナノワイヤーは空気中で酸化されてしまうが、本ナノケーブルは空気中でも安定であり、アモルファス炭素の被覆が空気酸化を防いでいると考えられる。 本研究は、Advanced Materials誌に掲載され、最も安価なナノワイヤー合成方法として紹介され、好評を得ている。
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