2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ領域熱起電力測定系の構築によるホウ素ナノベルトの電気伝導機構の解明
Project/Area Number |
17710082
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
桐原 和大 独立行政法人産業技術総合研究所, 界面ナノアーキテクトニクス研究センター, 研究員 (70392610)
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Keywords | ホウ素 / ナノベルト / 電子線リソグラフィー / クラスター / 電気伝導 / 熱起電力 / 金属ドープ / 光伝導 |
Research Abstract |
研究代表者が合成したホウ素ナノベルト(BNB)は、ホウ素正20面体クラスターを構造単位とする単結晶ナノワイヤである。既存の半導体ナノワイヤと異なる新奇物性の発現、特に、ホウ素クラスターの間隙への金属ドープによるBNBの化学結合制御又は形態制御による金属-半導体転移、超伝導転移の発現が期待できる。本研究の目的は、BNBの熱起電力・電気伝導率測定システムを構築し、純BNB及び金属ドープBNBの結晶構造や化学結合の評価を行うことにより、電気伝導機構を解明し、新奇物性の発現を探索することである。今年度の研究結果をまとめると、次の通りである。 BNB両端に熱起電力測定用電極を、その近傍に微細ヒーター線を加工し、BNBの熱起電力を測定したが、S/N比の良いデータが測定できなかった。これは、BNBの熱起電力が数μV/K以下であるか、又はBNB表面の酸化膜(厚さ1〜2nm)の影響と考えられる。今後は、真空アニールによる電極の接触性改善を図る必要がある。 去年度のTEMによる評価では、Mgドープ後のBNBはドープ前と同じ結晶相であった。今年度は、XRDパターンの詳細な解析の結果、Mg原子位置がクラスター間隙サイトの一部にあることが確認できた。 この他に、バルクと異なる光伝導性の発現に、BNB表面特有の電子局在準位が関与する可能性を指摘し、論文発表した。以上のように、本研究期間を通して多くのナノベルト試料の微細電極加工を行うことにより、ホッピング伝導や、Mgドーピングによる伝導率増加に関する知見が得られただけでなく、バルクと異なる光伝導特性を発見することが出来た。これを契機に現在、BNBを用いた放射線検出の実験も始まりつつあり、本研究成果が今後の更なる研究展開の出発点となることは間違いない。
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Research Products
(2 results)