2006 Fiscal Year Annual Research Report
異方性を有する金ナノ粒子の調製と新規二次元超格子の電子輸送特性の解明
Project/Area Number |
17710090
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金原 正幸 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助手 (40375415)
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Keywords | ポルフィリン / 金ナノ粒子 / 多座配位 / ソーレー帯 / 軌道間相互作用 / 面配位 |
Research Abstract |
近年、サイズにより多様な光学、磁気および電子輸送特性を示す金属ナノ粒子が注目を浴びている。金属ナノ粒子をナノ電子デバイスとして機能させるためにはナノ粒子の配位子層が有するトンネル抵抗を劇的に低減させる必要がある。そこで、本研究では、薄い配位子層により金属ナノ粒子のトンネル抵抗を低減し、かつ安定なナノ粒子を与えるため平面性の高い多座面配位型ポルフィリン配位子を設計、合成し、これに保護された金ナノ粒子の電気物性の解明を目標とした。 配位子として、ポルフィリン環の四個のメソ位置換フェニル基のオルト位に、金表面に親和性のあるアセチルチオ基を直接もしくはメチレン炭素一つを介して結合させたo-SC_0TPPおよびo-SC_1TPPを設計し、これらの合成に成功した。これら配位子を用い、5-10nmの範囲で粒径制御された単分散金ナノ粒子o-SC_0TPP-Auおよびo-SC_1TPP-Auを調製した。ポルフィリン環由来のソーレー帯モル吸光係数に着目すると、配位子のみと比較し5nm o-SC_0TPP-Auで1/1000、5nm o-SC_1TPP-Auでは1/200に減少し、ポルフイリン環のπ軌道と金表面の軌道との相互作用が示唆された。配位子に依存し吸光度減少に相違が見られるのはメチレン炭素の有無によるポルフィリン環-金表面間の距離の違いであると考えられる。結合した配位子量を見積もるために、XPS分析を行うと窒素原子が金表面に配位していることが明らかとなった。また熱重量分析を行うと、粒径から算出した金ナノ粒子の表面積とポルフィリン面の配位総面積が良い一致を示し、これらの結果からo-SC_0TPPおよびo-SC_1TPPの金表面に対する面配位が示唆された。本研究で合成した金ナノ粒子はこれまでに報告例の無い、有機分子のπ軌道が金属ナノ粒子表面に直立し、金属のd軌道と有効な相互作用をする系であり、非常に興味深い新規材料になる可能性がある。
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Research Products
(6 results)