2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17710095
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
内橋 貴之 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (30326300)
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Keywords | 水和構 / 原子間力顕微鏡 / 生体分子 |
Research Abstract |
本年度は、高速AFMによる局所水和構造の計測に向けて、力検出感度の高感度化のための高速位相検出法とレーザー照射によるカンチレバーの直接励振法の開発を行った。 カンチレバー振動の位相シフトを検出することによって、周波数変調(FM)方式と同程度の力検出が可能と考えられる。しかしながら、従来のロックインアンプを用いた位相検出法では動作帯域が非常に低く、高速測定を行うことは困難であった。そこで、カンチレバー振動の1周期毎に位相シフトを検出できる高速位相検出法を開発した。 高速位相検出法では、カンチレバーの振動に同期したパルス波を作り、このパルス波を用いてノコギリ波をサンプリング/ホールド(S/R)することで、振動位相に比例した電圧出力を得ることが出来る。ノコギリ波の振幅を5Vp-pに設定した場合、位相検出感度は13.9mV/度になる。位相検出回路のノイズレベルは20mVp-pと測定され、これから位相の検出感度として1.4度と算出された。マイカ基板表面上でカンチレバーの振動振幅と位相の探針-試料間距離依存性を測定したところ、位相信号の距離に対する変化率は、振動振幅の変化に比べて10倍程度大きいことが判明した。 カンチレバーを圧電体により溶液中で励振させると、液面や液に接した機械部の振動も同時に励起され、振動特性にカンチレバーの共振周波数以外のピークが多数生じる。これにより、周波数復調(FM)検出時にカンチレバーの自励発振制御が不可能であった。そこで、カンチレバーにパワー変調したレーザーを照射し、光熱膨張によるカンチレバーの変位を利用した励振方法を開発した。波長980nmの赤外レーザーをカンチレバーに照射しパワー変調を行うことで、変位効率0.1nm/mWでカンチレバーの励振と自励発振を行うことが出来た。 今後、これらの手法を用いて水和力の局所計測を行っていく予定である。
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