2005 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒レーザーを利用した超微細光制御素子の開発
Project/Area Number |
17710098
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下間 靖彦 京都大学, 工学研究科, 研究員 (40378807)
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Keywords | フェムト秒レーザー / パルスレーザー / Agイオンドープガラス / 熱拡散 / ナノ粒子 |
Research Abstract |
透明材料内部に微細電気配線パターンを形成することを目的として、Ag^+ドープガラスの内部にフェムト秒レーザーを集光照射して誘起される構造について評価した。Ag^+ドープガラスに高繰り返し周期のフェムト秒レーザーを照射することにより、照射後に熱処理を行うことなく、焦点付近のみに空間選択的にAgナノ粒子が析出することを確認した。一方、繰返し周期が低い(1kHz)場合、レーザー照射後にはAgナノ粒子は析出しないが、その後の熱処理により、Agナノ粒子の析出が確認された。このパルスの繰り返し周波数による相違は、熱拡散の影響によると考えられ、繰り返し周波数200kHzの場合、レーザーのエネルギーが焦点付近で吸収され、熱に変換され、その熱がパルス間隔(5μs)の間に約1.9μm拡散する。一方、繰り返し周波数1kHz(パルス間隔:1ms)の場合、パルス間隔の間に熱は約27μm拡散するため、焦点(直径:約1μm)から遥か遠くに拡散することを計算により求めた。照射するフェムト秒レーザーの繰り返し周波数が十分に高い場合、熱の蓄積が大きくなり、Ag原子は熱処理を行うことなく、焦点付近に凝集し、ナノ粒子が形成されると考えられる。さらに焦点付近にAgナノ粒子が形成することにより、レーザービームが反射されて屈折率が変化する領域がレーザーの入射方向にのみ誘起され、最終的にラグビーボール状の非対称な誘起構造が形成されたと考えられる。高繰り返し周波数のフェムト秒レーザーを透明なバルク内で集光させると、その焦点は熱の点源として働き、誘起構造の形状はパルス間隔における熱の蓄積と放射により制御可能であることを明らかにした。
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