2005 Fiscal Year Annual Research Report
カルボキシル基を利用した有機分子の銅配線上への自在配置に関する研究
Project/Area Number |
17710105
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
柳生 進二郎 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノマテリアル研究所, 研究員 (20343874)
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Keywords | カルボン酸 / 銅 / 吸着構造 / 赤外分光 |
Research Abstract |
カルボキシル基は、金属表面と化学結合を作るため、分子の固定化(アンカー)材料として有力である。また、Si系デバイスでの配線材料である銅との融合を考えた場合、その固定化分子の熱的安定性や吸着構造が重要である。これまで我々は、カルボキシル基が1つである酢酸とカルボキシル基が2つであるコハク酸の吸着構造及び熱的安定性について報告した。酢酸に比べてコハク酸の方が脱離温度が高く熱的安定性が高いことが明らかになった。これは、コハク酸の2つあるカルボキシル基のうち2つともイオン化してCu原子に吸着している状態(Bisuccinate:-OOC-CH2-CH2-COO-)である為に、脱離温度が高くなったと考えられる。本年度は、メチレン基が2つ多いアジピン酸を用いて、炭素数の違いが熱的安定性に与える影響及び吸着構造について昇温脱離、低速電子線回折(LEED)及び高反射赤外分光法(FT-IRAS)を用いて検討を行った。350〜400Kでは、アジピン酸はc(2×2)の2次元構造を形成しmonoadipiate (HOOC-(CH2)4-COO-)として吸着していると考えられる。温度の上昇と共にc(2x2)構造は崩れ、500K以降では、p(1x2)及びp(6x2)の2次元構造になった。これらの構造では、biadipiate (-OOC-(CH2)4-COO-)として吸着していると考えられる。Biadipiate吸着構造は、600Kでの脱離まで存在した。これら炭素数が2つ少なく分子構造が似ているコハク酸の結果とほぼ一致した。脱離温度は、表面Cu原子と吸着しているカルボキシルイオンが決定していると考えられる。
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Research Products
(1 results)