2006 Fiscal Year Annual Research Report
カルボキシル基を利用した有機分子の銅配線上への自在配置に関する研究
Project/Area Number |
17710105
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
柳生 進二郎 独立行政法人物質・材料研究機構, 半導体材料センター, 研究員 (20343874)
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Keywords | カルボン酸 / 銅 / 吸着構造 / 赤外分光 / 仕事関数 |
Research Abstract |
本年度は、カルボキシル基を含む有機分子のCu(110)表面での吸着構造を制御し、その仕事関数を計測することにより有機分子-金属界面でのポテンシャル接続について基礎的な解明を行う。この実験系での測定は、すでにある設備のケルビンプローブ(接触電位差法)によりおこなった。 ・有機分子-金属での仕事関数 1つのカルボキシル基と1つのペプチド結合を含むアセチルグリシン(N-Acetylglycine(AcGl):CH3-CO-NH-CH2COOH)のCu(110)表面での温度変化による吸着構造と仕事関数の関係について検討を行った。室温から350Kでは、AcGlはカルボン酸イオンの同等な酸素原子を通じて表面垂直に位置する。400K以降では、N原子は表面に近づきAcGlは表面に対して寝るように位置する。室温でのAcGlの吸着により仕事関数は0.14eV増加する。これは吸着によるものと考えられる。350Kから400Kにかけて分子の脱離が起こりそれに伴い吸着構造の変化が起こるが、そのときに仕事関数は0.36eVと急激に増加する。これは、分子の構造変化による双極子モーメントの変化の効果よりも表面との結合による電荷の移動の効果であると考えられる。そして再び脱離が起こる550Kより仕事関数は減少し、清浄表面の仕事関数に近づいていく。吸着状態の違い(分子の長軸が表面に対して垂直、平行に位置する)により仕事関数が変化することが実験的に明らかになった。有機物を含むデバイス製作における電位(仕事関数)制御おいて、有機分子と固体表面との界面接続状態(結合状態)が重要であることを示している。
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Research Products
(2 results)