2005 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブを用いた新規セラミックナノチューブの創成とその機能
Project/Area Number |
17710108
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
田口 富嗣 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (50354832)
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Keywords | セラミックス / ナノ材料 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究では、原材料としてカーボンナノチューブを用いた新しい炭化物、酸化物及び窒化物ナノチューブの合成法の開発を行うことを目的としている。現有の高真空電気炉を用いて、カーボンナノチューブを様々な処理温度においてケイ素粉末と反応させ、透過型電子顕微鏡(TEM)による熱処理後試料の微細組織観察を行なった。それにより、100nm程度の直径を有する炭化ケイ素被覆カーボンナノチューブ及び単相炭化ケイ素ナノチューブの合成条件を見出した。具体的には、1450℃、1hの処理条件では、チューブ形状が壊れ100nm程度のSiC結晶粒子が連なったSiCナノロッドが合成することがわかった。処理温度が1200℃及び1300℃、30hの処理条件では、炭化ケイ素被覆カーボンナノチューブのみが合成された。1200℃、100hの処理条件では、炭化ケイ素被覆カーボンナノチューブの他に、わずかではあるが単相炭化ケイ素ナノチューブも合成することを明らかにした。1200℃、100hの条件で熱処理を行なった試料を、さらに大気中600℃、1hの条件で熱処理を行なうことにより、単相炭化ケイ素ナノチューブの割合を50%以上に増加させることに成功した。TEM付随のエネルギー分散型X線分析法により、合成したSiC相の化学量論比が、ほぼ1に近いことがわかった。また、この結果及び高分解能TEM観察により、合成したSiC相の結晶性が高いことがわかった。同様にカーボンナノチューブとチタン粉末を、1400℃、30h、真空中の条件で熱処理を行なった。その結果、炭化ケイ素のように、カーボンナノチューブの表面を均一に炭化チタンが生成せず、50nm以下の粒径を有する炭化チタン微粒子担持カーボンナノチューブが合成されることを明らかにした。また、わずかではあるが単相炭化チタンナノチューブの合成に成功した。
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