2006 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブを用いた新規セラミックナノチューブの創成とその機能
Project/Area Number |
17710108
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
田口 富嗣 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (50354832)
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Keywords | セラミックス / ナノ材料 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究では、原材料としてカーボンナノチューブを用いた新しい炭化物、酸化物及び窒化物ナノチューブの合成法の開発を行うことを目的としている。昨年度までに、Si粉末とカーボンナノチューブの真空熱処理により、炭化ケイ素被覆カーボンナノチューブ(C-SiC同軸ナノチューブ)及び単相炭化ケイ素ナノチューブ(SiCナノチューブ)の合成に成功した。今年度は、昨年度に合成に成功したC-SiC同軸ナノチューブおよびSiCナノチューブを、1300℃、低真空度(10Pa程度)、5時間の条件で熱処理を行い、透過型電子顕微鏡(TEM)による微細組織観察を行った。その結果、これらナノチューブの表面にアモルファス層が観察された。このアモルファス層をTEM付随のエネルギー分散型X線分析法により分析した結果、SiとOから構成され、その比が1:2であることがわかり、アモルファス層はSiO_2であることが確認された。すなわち、この低真空度熱処理により、C-SiC-SiO_2同軸ナノチューブ及びSiC-SiO_2同軸ナノチューブが合成された。さらに、C-SiC同軸ナノチューブにおいて、SiCがほぼすべてSiO_2へと変化することによるC-SiO_2同軸ナノチューブの形成も観察された。ここで、CNTが金属的であるとすると、SiCは半導体、SiO_2は絶縁体であることが知られているので、本研究により金属半導体絶縁体と、異なる電気特性を有する材料から構成されている複合ナノチューブの合成に成功したことがわかった。低真空度熱処理時間を20時間に増加させることにより、すべてのSiCがSiO_2へと変化し、さらにCが雰囲気中の酸素と反応しCO_2となり消失することで、単相のアモルファスSiO_2ナノチューブの合成にも成功した。
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