2005 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化による繊維状微粒子集積体の構築とその光通信デバイスへの応用
Project/Area Number |
17710121
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
澤田石 哲郎 独立行政法人理化学研究所, 散逸階層構造研究チーム, 研究員 (50333331)
|
Keywords | 自己組織化 / 散逸構造 / ナノ粒子 / 光ファイバ / 自己支持性薄膜 |
Research Abstract |
私は、本プロジェクトにおいて、新規光デバイスへの応用を目的とした自己支持性の三次元微粒子集積体の構築およびその構造の制御に関する研究を行った。 例えば、スライドガラスを引き上げ、溶媒が固体膜から十分に乾燥させると、繊維状の構造物がスライドガラスから自発的に剥がれ落ちてきた。この構造物は、幅数百ミクロン、厚み数十ミクロンのストラップ状の構造をしており、その長さは、引き上げ距離に依存して増加することも明らかとなった。 これらの構造は、引き上げ速度、微粒子分散液の濃度のほか、微粒子分散液のpH、塩強度などによっても制御可能であることが示唆された。高pH領域では、集積体の幅が大きくなるのに対し、中性付近のpHでは、集積体は細くなった。また、塩強度を上げても、集積体の幅が増加したことから、集積体の構造には、微粒子どうしの相互作用、微粒子と基板表面との相互作用が重要であることが分かった。 また、微粒子集積体が剥がれ落ちた後、スライドガラス表面を光学顕微鏡により観察した結果、引き上げ方向に平行なストライプ状のパターン構造が形成されていることが分かった。これらの構造体は、微粒子集積体の形成と同時に微粒子分散液が膜内に入りこんで形成されるものと考えられた。ストライプ構造をSEM観察した結果、微粒子数十個分に相当する厚みを持つ、楔形の構造体であることが分かった。これらのストライプ構造をシリコン基板上に形成し、高温で長時間焼結すると、シリカ粒子どうしが融合し、パターン構造と固体基板が同じ材質でできた構造体が形成された。 以上の結果より、自己支持性三次元微粒子集積体の構造制御は可能であることが示されたので、次年度では、これらの三次元微粒子集積体の光デバイスへの応用の可能性について、調べる予定である。
|