2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17710123
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 輝好 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (90360891)
|
Keywords | 金融工学 / 生命保険 / 消費投資問題 / クレジットリスク |
Research Abstract |
まず,生命保険会杜のデフォルトリスクを考慮し,生命保険会社の負債である企業年金保険の価格付けを行った論文「保険会社のデフォルトを考慮した企業年金保険の価格付け」を日本保険・年金リスク学会誌に発表した.生命保険会社が取り扱っている企業年金には額面保証や利率保証さらには特別配当,成果配当といった仕粗みがある.本論文は,これらの仕組みをどちらか一方が行使可能な無期限アメリカン・プットオプションと無期限アメリカン・コールオプションの組み合わせとして定式化し,企業年金保険の価格を解析的に導出した. 次に,先の研究を拡張し,保険契約は契約者の死亡や年金基金からの脱退により消滅することとした.そして,日本保険リスク学会大会(10月・日本大学)において論文「構造モデルによる年金負債の評価」として発表した.また,同研究を国際会議QMF2005(12月・シドニー)において論文"Valuing Life Insurance Liabilities in a Structural Approach with Insured Events"として発表した. さいごに,個人の生命保険への加入問題を消費と資産運用のバランスから扱った論文「共働き世帯の投資と消費および生命保険加入に関する最適計画」を日本金融・証券計量・工学学会第24回冬季大会(12月・筑波大学)にて発表した.本論文では,世帯主に加えて収入のある配偶者についても考慮し,世帯の投資と消費および生命保険加入に関する最適計画を解析的に導出した.簡単な数値例から,いくつか常識と異なる結果を得た.例えば,リスク回避度に依存するとはいえ,収入のある二人が世帯を形成する場合,相対的に将来収入の小さい個人は,たとえ十分な収入を得ていても生命保険ではなく年金(生存保険)に加入する戦略が最適であることが示された.
|