2006 Fiscal Year Annual Research Report
パラメータの推定誤差を考慮したCVaR最小化に基づく金融リスク制御
Project/Area Number |
17710125
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
後藤 順哉 筑波大学, 大学院システム情報工学研究科, 講師 (40334031)
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Keywords | CVaR最小化 / VaR最小化 / ポートフォリオ選択 |
Research Abstract |
本年度は当初計画として 1.CVaR最小化に対するロバスト最適化の拡張 2.CVaR最小化技術を援用したロバストな推定方法の構築 の2つを挙げたが、最終的には、外れ値データがリスク最小化ポートフォリオ選択問題の最適解に及ぼす影響について考慮する、後者の問題意識のみを取り扱い、かつ、CVaRに限定せず、VaRやその他のリスク尺度の最小化問題についても取り組んだ。VaR最小化問題に対しては決定論的解法の構築を取り上げ、資産数が10コ程度以下に限定されるものの、損失分布のサンプル数にあまり依存しないアルゴリズムの構築を行った。一般に、精度の高い最適解を得るには十分なサンプル数が必要となる。0-1混合整数計画法による標準的な方法ではサンプル数に依存して問題が急激に難しくなるのと対照をなし、提案手法は最適解の推定精度という観点から興味深い解法と言える。この結果については近日中にテクニカル・レポートとしてまとめる予定である。さらに、CVaR最小化については銀行の与信ポートフォリオへの応用を取り上げた。数値実験の結果、現在の標準的なパーソナル・コンピュータを用いる場合、シナリオ数を増やして精度を高めることを目指すよりも、ポートフォリオのユニバースの増加を抑えることが精度の高い最適解を得る上で必要となるとの示唆を得た。この結果については引き続き検討を要するが、来年度中にレポートとしてまとめることを目指す。また、2006年8月に行われた国際数理計画法シンポジウム(ISMP)に参加し、ロバスト推定量のアイデアを取り入れたポートフォリオ選択問題の存在を知り、本テーマとの関連を直感したことから、年度後半は外れ値に対して頑健なリスク尺度の検討を行った。この方向性については本年度中に成果をまとめることができなかったが、来年度も引き続き検討していく予定である。
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Research Products
(2 results)