2006 Fiscal Year Annual Research Report
超大規模な錐計画問題を解くロバストアルゴリズムの開発
Project/Area Number |
17710126
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中田 和秀 東京工業大学, 大学院社会理工学研究科, 助手 (00312984)
|
Keywords | アルゴリズム / 数理計画 / 錐計画問題 / ロバスト |
Research Abstract |
本研究では、超大規模な錐計画問題を実用的な計算資源でロバストに解くアルゴリズムの開発を目的とする。まず、主に前年度までに研究を行った、自由変数を持った錐計画問題に対する前処理法や、PCクラスタを使った並列計算法は、学術誌に投稿・修正後受理されたことを述べておく。本年度は以下のような研究を行った。 1.プログラミング言語C++を用いて、対称錐計画問題を解くソフトウェアを開発している。現状では、非負制約と半正定値制約を含む対称錐計画問題を解くことができる。残り2次錐制約を解くアルゴリズムを導入すれば、プログラムは完成する。 2.多くの大規模な対称錐計画問題は、ブロック疎性と呼ばれる性質を持っている。これは、各変数間の依存関係が少ないことを意味する。このような問題を高速に解くため、ブロック疎性を利用したデータ構造と内点法アルゴリズムを提案・実装した。その結果、従来の手法と比べ、10倍から100倍以上の計算効率を得た。 3.(実行不能)内点法は、反復点が実行可能性と相補性を徐々に満たしていく方法である。相補性より実行可能性を満たすことを優先させることにより、内点法を安定させる手法を提案した。この手法の定量的な評価は難しいものの、数値実験では、双対残差あるいは最適解との誤差が、従来と比べ平均して10分の1程度となった。 これらの成果について、2006年8月に行われた国際数理計画シンポジウムで発表を行った。また、2006年12月と2007年3月の2回の渡って開かれた線形計算研究会で詳細の発表を行い、専門家らと有意義な討論をした。
|