2005 Fiscal Year Annual Research Report
大規模火災における熱放射予測の基礎研究-熱泳動現象に粒子形状が及ぼす効果-
Project/Area Number |
17710129
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 正太郎 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (10282576)
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Keywords | 熱泳動 / 粒子状物質 / 燃焼 |
Research Abstract |
大規模な火災が発生した際に、火炎から周囲に放射される熱輻射の強さを正確に把握することは、火災予防技術の観点から不可欠である。熱輻射には、燃焼により生じるスス粒子が決定的な影響を及ぼす。その挙動には熱泳動現象が強く影響しているが、定量的には不明な点が多い。特に、燃焼場のように温度勾配が大きく、粒子が非球形である場合の熱泳動現象については、十分な予測モデルがないだけでなく、データ自体がほとんどない。そこで本研究では、大きな温度勾配(数10K/mm)における熱泳動効果を調べ、形状の効果を実験的に明らかにすることを目的として実験を行った。 初年度である本年度は、装置の制作と基礎データの収集を目的として研究を進めた。はじめに、熱泳動現象を十分な精度で計測するために必要となる装置の設計・製作を行った。装置の設計にあたっては、粒子の装置内への投入方法および内部の密閉方法を検討した。また、粒子の粒径分布に起因した計測値の誤差を減少させるため、粒径の分別方法を検討した。試行実験の結果、円筒内を落下させて分粒する方法を採用した。これにより測定空間の流れ場の乱れを抑制し、また、計測粒子の粒径の分布範囲を減少させ、計測値の誤差を低減させた。さらに、粒子の運動をシミュレートする数値計算を行い、実験結果と比較し、結果の妥当性を検討した。その結果、計測装置内の粒子の運動と予測結果とが定性的に一致し、本研究により設計・製作した装置におけるデータの信頼性を確認することができた。
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