2005 Fiscal Year Annual Research Report
患者立脚型医療の実現を目的とする診療決断支援に関する研究
Project/Area Number |
17710137
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
佐藤 毅 鳥取大学, 工学部, 助手 (30304405)
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Keywords | 生活の質 / 不確実性 / 意思決定 / しきいち値問題 / 臨床疫学 / Q-TWiST |
Research Abstract |
平成17年度は、研究計画期間における初年度にあたり、申請時に記載した研究計画に基づき,患者の意思を考慮するべく,「生活の質」の概念を導入した意思決定問題について考察を行なった.転帰に対する患者の持つ価値観に基づき,一般的な木構造を持つ問題に対し,フォンノイマン型効用理論を応用した意思決定問題は従来から提案されている.しかし,期待効用の導出に対しては,ユニークな確率測度上で議論がなされており,患者の意思が転帰においてではなく,転帰にいたる過程上での不確実性を表現できるものではなかった.前述の問題点を考慮し,患者の意思が複数の確率測度から構成され,最も悲観的な状況下においても,より良い結果を得られる判断を下す意思決定問題の定式化について考察を行なった.つまり,不確実性回避的な患者の意思を考慮する意思決定問題となっている. 現在、患者の意志を表現する生活の質に対し,質のみならず,量的な要素も考慮すべく,さらに,時間の推移とともに変動する生活の質を考慮可能な新しい手法として注目を浴びているQ-TWiSTに対しても,複数の確率測度を認める場合の定式化について研究中である. また,患者の意思を不確実性回避的であると仮定しているが,リスクを負いながらも良い転帰を向かえるべく積極的に不確実性を受け入れる患者へのモデル作成も必要であると考えられる. 研究計画期間の最終年度に当たる平成18年度においては、現場への応用の可能性を含め,より実用的なモデルの構築を実現すべく研究を推進してゆく予定である。
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