2005 Fiscal Year Annual Research Report
大学の社会貢献機能と地域振興との相利的統合システム構築と最適解導出の為の実証研究
Project/Area Number |
17710138
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小川 暢祐 九州大学, 産学連携センター, 助手 (00343327)
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Keywords | 地域振興 / 産学官民連携 / 「食」と「脳」 |
Research Abstract |
本研究は 1.地域振興システム構築に寄与するための全国的視点に立つ定量的調査 2.有望モデル地域の定性的調査 3.九大と連携協定を締結した宗像市における実証調査 という三テーマから成る。今年度は次の知見を得た。 1.産学官民等の連携により地域振興を進める自治体では、関与する外部識者の専門分野・経歴等について類型化が可能。類計別に、特定の識者を頂点とする階層構造と、識者間ネットワークの存在が推定。各地の振興施策も類型化でき、関与者類型との間に対応関係が見出された。 2.<例1>振興施策により地域住民・事業者等の権益は強化されうるが、一方で過度の権益主張と資源管理強化により来訪者の自由度が減少し(アプリオリに定められた観光・消費スタイルの受容)、却って地域の魅力の低下をもたらす場合がある、という相反関係を観察。 <例2>比較的狭隘な地域が複数のコミュニティに分割され、その間に利害の錯綜がある場合、有力者の「声」が、着手段階で事業の方向性に影響する場合を観察。 <例3>コミュニティ間の断絶やコミュニティ内部での「中抜き」により、営々と築き上げられた地域統一ブランドが崩壊しつつある事例を観察。 3.複数教員を交えた検討会を定期的に開催。また、特産品開発も視野にFSを行った結果、松露の発生をしないで確認したことから、食・農・環境と関連づけた地域振興素材としての活用可能性を検討した(「幻の浜の幸」「和製トリュフ」といわれる松露は、林地管理不全や開発等により発生地が激減し、独立行政法人森林総合研究所や関西電力等により増殖研究が進行中)。 平成18年度は、自治体合併が急速に振興する中での地域振興の様態について調査を進めつつ、来訪者等消費者にとっての地域振興の価値・意義にも着目し、研究を進める予定である。
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