2006 Fiscal Year Annual Research Report
災害時地域支援を想定した小規模自立無線ネットワークの信頼性の研究
Project/Area Number |
17710140
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
高橋 美佐 高崎経済大学, 地域政策学部, 助教授 (60363777)
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Keywords | アドホック・ネットワーク / 性能評価 / 確率モデル / マルコフ連鎖 / マルチホップ通信 / 接続可能性 |
Research Abstract |
本研究では,集落のような限られた領域内の利用を想定した自立型無線システムの信頼性,とくに端末接続の確実性という面からの性能評価を目的とする。自立型無線システム(アドホック・ネットワーク)は,携帯電話やPDAなどの移動端末により構成される無線通信ネットワークで,周辺の他の端末を経由するマルチホップ通信により,直接的に通信可能でない端末同士も相互通信可能となる。そのため,通信エリアの拡大,変更が容易で,さまざまな所で不特定の参加者による情報共有空間の構築を簡便に実現できる。しかし,端末の移動に伴いネットワーク内の端末数や端末位置などが変化するため,特定端末相互のリンク接続が可能になったり不可能になったり安定しない。本研究では直線道路上を,双方向のポアソン流に従ってランダムに到着し,等速度で移動する歩行者(移動端末)から成るアドホック・ネットワークを考え,着目区間内の2つの静止端末の相互通信可能・不能状態の継続性について確率モデル解析し,数値実験によりその特徴を分析した。具体的には,以下のとおりである。 (1)2つの静止端末間の距離が十分に大きい場合における,通信可能確率,通信可能・不能持続時間分布の漸近的性質を示した。 (2)2つの静止端末間の通信可能継続時間には,非常に短い時間と比較的長い場合の2種類が存在し,それぞれの通信が,双方向に移動する歩行者を経由して行われる場合と一方向の歩行者のみを経由する場合に対応することを確認した。 以上のことから直線道路上のアドホック・ネットワークについて、端末密度が疎である場合は,Eメールやテキスト伝送など比較的短い時間の通信に適している。動画伝送や電話などある程度長時間の通信をおこないたい場合には,まれにおこる長時間継続した通信可能状態を捉えて通信を行う必要があることが明らかにされた。
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