Research Abstract |
従来,面的な地盤特性を推定するためには,地形分類図などの定性的な情報を利用している。本研究では,従来の推定法の精度を高めるために定量的な地形指標,特に水系や流域界に基づく地形指標の提案を目的として,まず地盤情報や各種地理情報を収集し,地理情報システム(GIS)へ登録を行った。ここで登録した各種地理情報とは,ボーリングデータの位置,ボーリング柱状図の画像,250mメッシュ地形分類図,標高,傾斜,水系,流域界である。250mメッシュ地形分類図は,若松加寿江氏から提供いただき,標高,傾斜は市販の数値地図から算出し,水系,流域界は国土数値情報を利用した。 ボーリングデータは,「関西圏地盤情報の活用協議会」が発行する地盤情報データベースCD-ROM(2005年度版)を利用し,複数の地盤柱状図を含む断面図の画像を取り出し,GISに新たにそれらの情報を断面線に関連付けた。 本研究では,関西圏の柱状図のうち,一般的に地盤が軟弱になる河川周辺(河川から50mの範囲)に分布するボーリングデータを対象として断面図の登録を行い,水系や流域界ごとに柱状図を確認し,比較的深い情報(おおむね20m以上)をもつ400本分のテキストファイルを地盤特性の算出のために購入した。また,横浜市の強震観測150地点の地盤特性に関する情報データベースを利用して,GISに位置情報と地盤特性(平均S波速度など)を登録した。 以上,GISに登録された地形情報と地盤に関する情報を利用して,複数の柱状図が含まれる断面図をGISの画面から呼び出すことにより,定性的な検討ができる環境が整った。平成18年度に,流域に関する定量的な地形指標および地盤特性(平均S波速度など)を算出して,地形条件との定量的な関係の分析をGISにて実施する予定である。
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