2005 Fiscal Year Annual Research Report
垂直・水平伝播の網羅的同定による細菌のゲノム進化の解明
Project/Area Number |
17710164
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
竹内 史比古 順天堂大学, 大学院医学研究科, 講師 (50384152)
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Keywords | ゲノム進化 / 水平伝播 / 垂直伝播 / 相同遺伝子グループ / ブドウ球菌 / oriC environ / genomic island |
Research Abstract |
ブドウ球菌属を対象に、垂直・水平伝播を網羅的に同定することによりゲノム進化を解明した。ブドウ球菌の種分化は、染色体の中でも複製起点の周囲の領域が多様化することによりもたらされていた[J.Bacteriol.(2005)187巻7292-7308頁]。【方法】先ず、全ゲノムが解読されていたStaphylococcus aureus, S.epidermidis, S.haemolyticusの3種10株について、相同遺伝子グループ("homolog")を計算した。そのために10株の全26,299遺伝子を、核酸配列のアライメントでquality ratioが70%以上となるものが同じグループに属するように分けた。さらに各グループを、構成する遺伝子がどの種に含まれるかにより、系統的に分類した。特に、ブドウ球菌属に共通する1158グループを共通相同遺伝子グループとした。次に、各ゲノムについて、共通相同遺伝子グループの分布から、垂直および水平伝播による領域を同定した。そのために、ゲノムの各遺伝子とそれを含む相同遺伝子グループを対応付けた。ブドウ球菌に共通の遺伝子が集積した染色体領域は、ブドウ球菌の共通祖先から垂直に伝播されたと推定し、逆にそのような遺伝子がまばらな領域は水平伝播によりもたらされたと推定した。【結果】共通の遺伝子がまばらな~10kbpの領域が見つかり、これらはgenomic islandやトランスポゾンに該当した。その外来性は、コドン頻度のずれや、染色体の組み換えを引き起こす遺伝子の存在により裏付けられた。これらの領域は、同一種の異なる株間で多型があり、種よりもむしろ株の特徴付けをしている。これらの他に、複製起点の周囲の領域("oriC environ")が種間で異なっていることを発見した。例えば、この領域はS.aureus N315株において34-400kbpを占めており、この種を特徴付けるcoagulase, protein Aなどを含んでいる。この領域は、同一種内では保存されており、まさしくブドウ球菌の種分化を特徴付けている。
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Research Products
(1 results)