2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍活性海洋マクロライド・ビセライドBの全合成と新規抗がん剤の創製
Project/Area Number |
17710178
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
早川 一郎 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助手 (20375413)
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Keywords | 腫瘍細胞増殖阻害活性 / ビセライドB / ハテルマライドNA |
Research Abstract |
ビセライド類は,沖縄産ホヤより単離・構造決定されたマクロライドである.パネルスクリーニングの結果より,ビゼライドAおよびBは制がん剤のシスプラチン以上の腫瘍細胞増殖阻害活性を示す一方で,生物に対する毒性をほとんど示さないことから新しいタイプの制がん剤のリード化合物として期待されている.そこでビセライドBの全合成を行うことにした. D-マンノースから合成したアルキルボランとアルケニルシランの鈴木-宮浦カップリングによるC5-C15セグメントの構築を種々検討の結果,98%の収率でカップリング体を得ることに成功した.続いて,玉尾らの方法を改良した脱シリルと立体反転を伴うオレフィンのクロロ化反応を行い,ビセライド類のクロロオレフィン部の構築に成功した.これにより,以前の全合成経路と比較して四工程の削減と五倍の収率の向上に成功した.また,これまで困難であった20位水酸基の導入を種々検討した結果,α位にヨウ素を有するホスホランを用いたZ-選択的Wittig反応-DIBAL還元により成功した.現在,マクロラクトン環構築の最終課題であるC1-C3ユニットの導入を検討している. 一方,ビセライドBの全合成の最終工程である,マクロラクトン環と側鎖部の結合を野崎-檜山-岸カップリングによって構築することとし,モデル反応による検討を行なった.種々検討した結果,収率よくカップリング反応が進行する条件を見出した.つづく共役ケトンの導入も成功し,ビセライドBの全合成の最終工程を確立することができた.現在,実際の基質への適用を検討している. また,構造活性相関研究の一環として,ビセライド類の類縁体であり,強力な腫瘍細胞増殖阻害活性を示すハテルマライドNAの合成研究も行い,マクロラクトン環の合成を完了した.こちらの化合物は全合成の最終段階に入っており,全合成達成後,詳細な生物活性試験を行う.
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