2005 Fiscal Year Annual Research Report
天然林におけるシイ属の更新調査と都内公園のシイ属の比較およびデータマップの作成
Project/Area Number |
17710193
|
Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
小林 悟志 国立情報学研究所, 学術研究情報研究系, プロジェクト研究員 (30399274)
|
Keywords | 遺伝学 / 環境 / 植物 / 生態学 / 情報工学 |
Research Abstract |
研究実績 北の丸公園:17年5月〜18年1月までの期間で、月2回のペースで、母樹の分布調査。 水俣の天然林(久木野林木遺伝資源保存林):17年6月30〜7月8日、11月21日〜27日、18年3月24日〜28日に、合計3回現地調査。2回目の調査からは、天然林である南大隅町の稲尾岳を新たな調査対象地区として加えた。 北の丸公園に存在するシイは453個体であり、そのうち、スダジイは326個体、ツブラジイは1個体、雑種は126個体であった。スダジイとツブラジイが同所的に天然分布する地域であるIBP調査区域では、調査対象とした629個体のうち、標高の低い場所にツブラジイ個体群が密集し、スダジイは標高の高い山頂や尾根に個体群が密集している傾向を示した。スダジイ分布圏とされている大隅半島南端稲尾岳では、ヅブラジイが1個体存在し、雑種個体は調査個体数内の割合では5%(5個体)であり、残り94%(87個体)はスダジイ個体で占められていた。堅果の種皮についてはDNA解析が可能であるが、堅果の胚については、DNA抽出の段階でバンドが得られたにもかかわらず、RAPD法ではPCR反応が起こらなかったので、堅果の胚のDNA解析は今後の課題である。 シイ林が存在する北の丸公園における雑種個体の割合は、ツブラジイが1個体しか存在していないにもかかわらず、両種が存在する天然林のIBP調査区域(21%)よりも27.8%と高い。このことは、公園造成時に雑種個体を誤ってスダジイと認識して植栽されたことを示唆する。 今後、堅果の種皮から抽出したDNAサンプル数を増やし堅果の母樹を確定していき、胚由来のDNAと比較して父性由来の個体を明らかにすることを目指す。北の丸公園に分布している全個体数のシイの位置は、GPSによって緯度・経度のデータが得られているのでデータマップ化し、遺伝子解析によって得られた堅果の母樹と父性由来の個体との関係をデータに付け加えていく。
|