2005 Fiscal Year Annual Research Report
汽水生沈水植物の保全を目的とした遺伝的集団構造解析
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17710194
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
田中 法生 独立行政法人国立科学博物館, 筑波実験植物園, 研究官 (10311143)
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Keywords | 汽水生植物 / カワツルモ / 集団遺伝学 |
Research Abstract |
本研究は、汽水生植物カワツルモの日本国内における遺伝的集団構造とその成立要因を明らかにするために、国内での分布状況を調査し分類学的再検討を行った上で、新たに開発したDNAマーカーを用いて集団遺伝学的解析を行おうとするものである。カワツルモ科カワツルモ(Ruppia maritima L. ; Ruppiaceae)は汽水域に生育する多年生の沈水植物で、カモ類などの渡り性水鳥にその種子が捕食されることや、その排泄物中の種子が発芽することが多数報告されていること、また日本国内において、それら渡り性水鳥の渡り経路とカワツルモの分布域が重なっていることから、水生植物の広域分布と隔離された集団特性を明らかにする上で適した植物である。しかし、外部形態の変異が大きく識別形質に乏しいことから分類学的に十分整理されておらず、その自生状況も明らかでなかった。そこでまず、日本国内における自生状況の把握、分類学的な再検討を行った後に、集団遺伝学的解析を行うことにした。 17年度は、文献や標本よりこれまでに生育が報告されている78地点のうち全国の43地点を調査した。その結果、28集団で生育を確認し、新たに1集団を確認できた。一方、15集団は絶滅したこともわかった。また分類学的形質の再検討として、葉端形状と果梗長とそのねじれ具合、染色体倍数性の変異を調査した結果、国内のほとんどの集団は典型的なカワツルモであるが、北海道と新潟県佐渡島には、特異な集団があることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)