2005 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジアにおける民族間対話の仕組みと役割-マハッラ地域社会を事例として-
Project/Area Number |
17710197
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
ティムール ダダバエフ 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (10376626)
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Keywords | 民族間対話 / コミュニティ / 地域社会 / 旧ソ連 / 中央アジア |
Research Abstract |
私は「中央アジアにおける民族間対話の仕組みと役割-マハッラ地域社会を事例として-」のテーマで資料研究、現地調査などを行ってきました。旧ソ連・中央アジァ地域の民族問題は、その多様性・歴史性から重要な研究課題とされてきた。その中でも、民族間関係が平和・発展など中央アジア諸国の様態にいかなる影響を及ぼすかは、中央アジア研究にとって不可欠な課題といえる。本研究は、民族間対話の具体的な仕組みとしてウズベキスタンのマハッラに焦点を当て、その実態および存在意義と民族間関係における役割の理解を深めることを目的とした。研究の課程で、具体的には、中央アジア地域におけるマハッラを定義つけ、マハッラと国家機関、様々な組織との関係、マハッラの支持基盤やマハッラへの支持の動機を調査・分析した。その上で、多民族地域である中央アジァ地域において、マハッラは包括的組織なのか、それとも排他的組織なのかを明らかにし、マハッラがこの地域諸国にみられる民族間対立にいかなる影響を及ぼしうるのか検討してきた。そのため、4月-6月を調査準備に、7月-9月を調査実施にあてた。第二回現地調査を実施し、その目的は、マハッラが地域社会の安定化に寄与した具体例を集め、地域内の民族間関係においてマハッラの利点と弱点を明らかにすることであった。また、政府関係者・研究者・市民などが、長老やリーダーの役割と地域社会における民族間平和との関連性についてどのように認識しているかについて、アンケートやインタビュー、公文書の収集を通して把握を試みた。 以上の調査の結果を様々な形で公表してきた。具体的には、数回の講演を実施し、中央アジア地域における民族間対話の重要性を訴え、マハッラの仕組みを説明した。そして、好評論文として東洋文化研究所や他の研究機関において研究論文を公表した。本研究の最終的な成果として、『マハッラの実像-中央アジア社会の現状と変容』を東京大学出版会で出版した。
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