2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミャンマー・バゴー山地におけるチーク林の生態環境の履歴
Project/Area Number |
17710199
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 玲治 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助手 (60378825)
|
Keywords | チーク / タウンヤ造林 / 生態環境 / 土壌養分動態 / 植生動態 / 森林資源利用 / 野火 / ミャンマー |
Research Abstract |
チーク林の生態環境の履歴の把握のため、本年度はチーク造林地の伐採・再造林に着目した調査を行った。ミャンマー・バゴー山地ポッコン県のSouth Nawin指定林では、2004年4月に林齢88年のチーク造林地が101ha伐採され、2005年にその跡地でタウンヤ法を用いたチークの再造林が開始された。タウンヤ法とは、樹木の植栽と同時に農作物間作を行い、林冠が閉鎖した後は植栽木の育成のみを行って人工林を造成するアグロフォレストリーで、焼畑の休閑期を植栽木の育成に置き換えた農林複合生産と捉えることができる。タウンヤ農民への聞き取り調査から、これらのチーク皆伐跡地では、残存するタケ類や小径木を利用して火入れを行ったものの燃焼が不十分で、燃材が十分に確保できた二次林伐採跡地に比べ、間作期の雑草が多かったことが確認された。周辺のチーク造林地(林齢81〜96年)における毎木調査結果からは、チーク皆伐後にも10〜56t/ha程度の木本種と7〜20t/ha程度のタケ類が残存することが予想されたが、実際にはチーク以外にもピンカド(Xylia xylocarpa)等の有用樹はミャンマー林業公社(MTE)が、その他の残存木は民間の伐採業者が伐採・搬出しており、2サイクル目のタウンヤ造林を始める際には火入れに十分な木本類が残存していないことが明らかとなった。 当地域のタウンヤ農民の多くは、間作物の良好な生育には十分な火入れが必要であると考えており、火入れに必要な燃材の確保はタウンヤ農民のインセンティブとしても重要である。2サイクル目のタウンヤ造林では、伐採後に早期の再生が期待されるタケ類の回復を待って火入れを行ったり、チークの枝条を可能な限り火入れに利用することが必要と思われる。また、チークの枝条はCaをはじめ多くの養分元素を含んでおり、土壌養分保全の観点からもこれらを現場に残すことが重要といえる。
|
Research Products
(3 results)