2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17710205
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 重人 東北大学, 大学院文学研究科, 講師 (60294013)
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Keywords | 家族法 / 労働法 / 分配的正義 / 衡平 / 離婚給付 / 解雇法制 / 無償労働 / 不平等 |
Research Abstract |
1.離婚給付に関する法学文献を探索し、その歴史と現状について調査した。ゲーム理論に基づく家族経済学の研究においては、交渉決裂時のプレーヤーのwell-beingが交渉力を決定する主たる要因とみなされる。離婚時における財産的給付はこの交渉力を規定する重要な要素である。裁判離婚における離婚給付は、長時間をかけて、物的な財産の衡平な分配を実現する方向に動いてきたが、他方で無形の人的・社会的資本に関しては現在も分配のための法的手段は存在しない。また離婚件数の9割を占める協議離婚については、その多くが法的な介入の対象外にあり、離婚給付を通じた衡平な分配が行われる可能性は低い。以上の内容についてInternational Association for Feminist Economics年次大会で報告し、今後の日本社会において家族法がジェンダー平等について果たすべき役割について論じた。 2.解雇法制に関する法学・経済学文献を探索し、その歴史と現状について調査した。家族責任を果たすために職業キャリアを中断する者と家族責任を負わずに就業を続ける者との格差は、ジェンダーによる不平等を生み出す主たる要因のひとつである。解雇法制を維持したままでこの格差を縮小する方法はあるか、解雇法制を緩和することは望ましい結果をもたらすか、等について、労働法学の専門家と議論しつつ、考察を深めた。 3.昨年度に開発した、インターネット上の政策文書や研究論文を自動的に要約するコンピュータ・プログラムについて、UTF-8エンコーディングによる多言語対応をおこなった。また全文検索エンジン「Namazu」を利用してインデックスを作成することにより、日本語わかちがきによる検索が可能になった。
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