2006 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダー統計視点による男女間所得格差の国際比較研究-「男性稼ぎ主」型を考える-
Project/Area Number |
17710207
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
杉橋 やよい 金沢大学, 経済学部, 助教授 (60377009)
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Keywords | ジェンダー統計 / 収入格差 / 性別賃金格差・差別 / 「男性稼ぎ主」型 / 国際比較 / 家計統計 |
Research Abstract |
1.日本の共働き世帯の妻と夫の収入、および妻の家計への貢献度に関する検討。今年度は、Sinfonicaが提供するミクロデータよりサンプル数が多い、一橋大学経済研究所付属 社会科学統計情報研究センターミクロデータ分析セクションが提供する「全国消費実態調査」のミクロデータ(1989、1994、1999年)を用い、共稼ぎ世帯(世帯主とその配偶者が共に雇用者である世帯)の勤め先収入を夫妻、雇用形態別に分析し、さらに経常年間収入の階級別に夫妻の収入比率を分析した。その結果、夫妻ともにフルタイムの共稼ぎ世帯の夫妻の年間収入比率は62:38であるのに対し、夫がフルタイムで妻がパートの場合85:15であることなどがわかった。この分析結果の一部を、2007年4月にフェミニスト経済学日本フォーラムで報告した。 2.韓国の夫妻間収入格差の分析。お茶の水女子大学ジェンダー研究のフロンティアの韓国のパネル調査を用い、夫妻の収入の分析も行った。成果は「収入」『家族・仕事・家計に関する国際比較研究韓国パネル調査第2年度報告書』に掲載。 3.ジェンダー統計研究。(1)日本および国際的なジェンダー統計の動向と課題について、経済統計学会『社会科学としての統計学』にまとめ、(2)国連の『世界の女性2005』を翻訳(「健康」と「仕事」担当)、(3)世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数を検討し『研究所報』にまとめた。(4)また、上記Iの分析を通じ、(i)世帯主と配偶者の勤め先収入の男女別表示があるが、少なくとも世帯主に関しては正確な数値を掲載できるであろうこと、(ii)妻の就業形態を「職員」と「労務作業者」の職業だけに限定せず掲載する方が利用者にとって有益であること、(iii)世帯主概念と実態が一部乖離している可能性、について指摘した。 4.19年度は(1)日本の分析をより精緻化し、2004年のデータも加えること、(2)日英比較に集中する予定。
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Research Products
(6 results)