2005 Fiscal Year Annual Research Report
ワーク・ファミリー・コンフリクトへの対処過程に関する研究
Project/Area Number |
17710208
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 容子 名古屋大学, 発達心理精神科学教育研究センター, 助手 (80362218)
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Keywords | 共働き夫婦 / 仕事と家庭の両立 / ワーク・ファミリー・コンフリクト / 対処 |
Research Abstract |
本年度の実績としては,第1に,仕事と家庭の両立葛藤であるワーク・ファミリー・コンフリクトの対処プロセスに関する研究が,「心理学研究」に掲載された。 そして第2には,ワーク・ファミリー・コンフリクトに対する仕事領域での対処尺度を作成し,質問紙調査を実行して,この尺度構成を検討した。分析の結果,「職場内役割調整対処」「仕事役割低減対処」「仕事役割充実対処」の3因子から成る尺度が構成された。各因子の信頼性はα係数によって示され,さらにこの3因子構造は他の先行研究における尺度構成と同様の構造であることから,この尺度の妥当性も確認された。 また共働き男女におけるこれらの尺度得点を算出したところ,男女ともに.「仕事役割充実対処」を多く用いていることが明らかとなった。したがって,仕事と家庭の両立生活はより時間とエネルギーを必要とする生活ではあるが,役割を充実させより主体的に関与をすることによって,この生活に意味をもとうとしている実態のあることが推測された。またこの得点の男女比較をしたところ,女性は男性よりも「職場内役割調整対処」と「仕事役割低減対処」を多く実行していることが示された。ここからは,女性は男性よりも,現実的に仕事と家庭の両立が可能となるような状況を作り出すような対処を実行していることが推測された。 これらの結果は,日本発達心理学会第17回大会において発表し,他の参加者と議論を深めた。 今後は,これらの対処と職場内要因(上司の理解・支援,ファミリー・フレンドリー制度の設置・利用しやすさ)との関連,および満足感や精神的健康に及ぼす効果について検討することが課題である。
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