2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヴィマラプラバーの翻訳研究によるインド密教教義の最終形態の解明
Project/Area Number |
17720008
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Research Institution | Shuchiin University |
Principal Investigator |
松本 峰哲 種智院大学, 仏教学部, 講師 (40351275)
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Keywords | カーラチャクラ / ヴィマラプラバー / 最終戦争 |
Research Abstract |
『カーラチャクラ・タントラ』(以下KT)及びその注釈書『ヴィマラプラバー』(以下VP)の翻訳研究を中心に、特に第1章「世間品」に説かれるKT独自の終末観において語られる、異教徒との最終戦争で使われる武器について考察を行った。今までKTに説かれる最終戦争というテーマに関して、注釈書であるVPは仏教教典においてふさわしくないテーマであるとして、註釈において仏教教義の一つの象徴表現として内容をすり替えることによって、戦争というテーマを避けようとする傾向があると指摘されてきた。しかし今回の研究で、VPが武器に関して非常に詳細な解説を行っていることから、VPが、必ずしも戦争というトピックに対して否定的な態度では無かったのではないかということが、明らかになった。このことに関しては、2005年10月28日に真言宗豊山派宗務所で行われた、第38回日本密教学会学術大会において「Kalacakra-tantraに説かれる最終戦争の武器」というタイトルで発表を行った。 また翻訳研究にあたって、ケンブリッジ大学所蔵仏教サンスクリット写本のマイクロフィルムのうち、KT及びVPの写本のPDF化を行った。これにより、コンピューター上で影像を簡単に拡大できることから、写本校訂の効率が飛躍的に向上した。さらに、翻訳該当個所のサンスクリットテキスト及びチベット訳テキストの対照電子テキストを作成した。作成されたデータは東京大学東洋文化研究所東洋学研究情報センターデータベース、「Tibetan-Sanskrit構文対照電子辞書 eDic」のデータの一部として活用されている。
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Research Products
(2 results)