2006 Fiscal Year Annual Research Report
国際美術展における脱欧米中心主義思潮の興隆の経緯についての研究
Project/Area Number |
17720020
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
藤川 哲 山口大学, 人文学部, 助教授 (50346540)
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Keywords | 現代美術 / 国際展 / 白人中心主義 / ビエンナーレ / キュレーター / 展覧会 / グローバリゼーション / サイト・スペシフィシティ |
Research Abstract |
初年度に引き続き、[1]海外調査、[2]国内調査、[3]調査作品画像の学内公開、[4]国際美術展図録、関連文献の収集、[5]まとめ、を実施計画とした。 各実績は、[1]シンガポール、上海、光州の各ビエンナーレ(8/31-9/10)、サンパウロ・ビエンナウ(10/23-30)、釜山ビエンナーレ(11/17-21)、台北ビエンナーレ(2/2-5)、[2]越後妻有アートトリエンナーレ(8/15)、[3]シンガポール530枚、上海590枚、光州940枚、サンパウロ2,160枚、釜山980枚、台北760枚、越後妻有80枚の撮影(各概数、整理中)、[4]国際美術展図録等約30冊、関連文献約50件の収集、[5]研究日誌のウェブ公開(http://blog.so-net.ne.jp/art-groove/)、である。 各国際美術展の調査では、初年度に引き続きデジタルカメラによる三脚を使用した撮影、および映像作品等に対するデジタルヴィデオカメラによる記録を行なった。また、シンガポール、上海、光州については開会式典と内覧会に参加し、記念シンポジウム等の記録も行なった。 なお、本年度はインディペンデント・キュレーターの先駆者ハラルド・ゼーマンの「人類のプラトー(舞台)」をめぐる論考を準備していたが、草稿の執筆にとどまった。同キュレーターについては、平成19年9月に予定されている、グルノーブルのエコール・デュ・マガザンが進めているゼーマン・アーカイヴの調査報告を俟つこととした。草稿は同プログラムに参加している邦人研究者に参考のため送付した(12月)。また、4月刊行予定で進めていたゼーマンのインタヴュー記事等の翻訳を掲載した小冊子『iES(イー・ヱス)』は6月に刊行し、小部数ながら関係者に配布した。このうち、東京都写真美籍館の笠原美智子氏が、「石内都」展用のリーフレット掲載の論文で脚注に引いてくださった(9月)。また藝術出版社『Bien』編集部の国際美術展特集記事のための照会に対して資料等を提供した(2007年1・2月号、p.32)。ほか、峯村敏明氏執筆のアジアにおける国際美術展動向の新聞評に対しては写真提供を行なった(毎日新聞、2006年12月25、26日各夕刊)。 本年度もまた、大学院ゼミ生たちとともに、国際美街展の重要キュレーターの一人オクウィ・エンヴェゾーについて、インタヴュー記事等4件の翻駅を行なった。エンヴェゾーは、植民地主義以後のキュレーターとして注目されている存在で、その企画意図を探ることにより、脱欧米中心主義の現在的な思潮についての理解を深めることができた。 そのほか、学生の論文執筆指導と連動させて、本年よリブログを活用しての発想の蓄積を行なうこととし、インターネット上の情報源の集積と研究日誌の公開を行なっている。
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