2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17720022
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
下野 玲子 早稲田大学, 會津八-記念博物館, 助手 (90386714)
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Keywords | 美術史 / 仏教史 / 仏頂尊勝陀羅尼経 / 経幢 / 敦煌莫高窟 |
Research Abstract |
今年度の主な研究活動としては、8月と3月に中国で仏頂尊勝陀羅尼経幢と敦煌莫高窟壁画の現地調査をおこなった。 まず平成17年8月には、仏頂尊勝陀羅尼経の流布と関係の深い山西省五台山周辺において、経幢15例を実見することができた。岩山寺、五台山の竹林寺や七仏寺など、清代の文献(『山西通志』)を含めこれまで報告になかった経幢も確認できた。破損・表面の摩滅のために紀年を確認できない経幢も多かったが、判明する限りでは唐から五代、北宋、明、現代までと幅広い年代にわたり、この地における当経典の信仰が長期間継続していることを示しているといえる。北宋時代のものが特に多く、信仰が開始した唐代の作例は仏光寺の2例のみであった。 文献に見える仏頂尊勝陀羅尼経幢についての記述(清代の『金石萃編』、葉昌熾『語石』、『山西通志』等)から、漢訳者・序文の有無・制作年に関するデータを収集・整理する作業をおこなっているが、中でも葉昌熾『語石』には唐代の経幢は序文を刻む例が多いことが記されているが、これまでの現地調査では明確に裏付けられなかった。次年度もひきつづき文献資料の整理を行う予定である。平成18年3月には、敦煌莫高窟に現存する仏頂尊勝陀羅尼経変相図の作例のうち、北宋時代の全作例2点(第55窟、第454窟)の現地調査をおこなった。いずれにも唐代の同経変(第217窟、第103窟、第23窟、第31窟)と共通する特徴的な図像が認められた。莫高窟諸作例の調査結果にもとづき当変相図の図像の詳細と展開を明らかにするため、現在は描き起こし図を作成中である。
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