2005 Fiscal Year Annual Research Report
ジャン=リュック・ゴダールの後期作品における歴史と記憶のテーマに関する研究
Project/Area Number |
17720023
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
堀 潤之 関西大学, 文学部, 専任講師 (80388412)
|
Keywords | 映画研究 / 表象文化論 / ジャン=リュック・ゴダール / 歴史 / 記憶 |
Research Abstract |
今年度は、ゴダールの「映像の論理」を明らかにするために、『映画史』(1988-98)を頂点とする彼の90年代作品とニュー・メディアの関連性、特に「データベース映画」の概念に重点を置いて研究を行った。その成果として発表した論文「「データベース映画」をめぐって-ニュー・メディア時代のゴダール」では、まず、ニュー・メディアの興隆期である1990年代において、映画が製作面と受容面の双方でどのような質的変容を被ったのか、また、その変容に対してゴダールの作品や行動がどのような反応を示しているのかを明らかにした。その上で、ニュー・メディアの理論家・アーティストであるレフ・マノヴィッチに主として依拠しながら、ニュー・メディア時代の特権的な映画形式とされる「データベース映画」の概念がどれほど有効なものたりえるかを、スティーヴン・スピルバーグが94年に創設した「ショアー財団」とクロード・ランズマンによる映画作品『ショアー』(1985)の比較考察、および英国映画協会(BFI)が各国の監督に委嘱して作った映画百年シリーズと、ゴダールの『フランス映画の2×50年』(1995)、ならびに『映画史』の比較考察を通じて検討した。また、ゴダールが自身の「映像の論理」をどのように歴史の表象に適用しているのかということをめぐる進行中の研究に関して、2件の学会発表を行ったほか、2006年8月から9月にかけてパリ、ブリュッセルに出張し、日本での視聴・収集が困難な関連映像作品および文献を可能な限り収集・閲覧・分析した。
|
Research Products
(1 results)