2005 Fiscal Year Annual Research Report
琉球諸島における「棒踊り系芸能」の舞踊学的研究:フェーヌシマの記録と芸態の体系化
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17720026
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Research Institution | Okinawa University |
Principal Investigator |
須藤 義人 沖縄大学, 人文学部, 講師 (00369208)
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Keywords | フェーヌシマ / 棒踊り / 芸態 / 所作 |
Research Abstract |
1,「フェーヌシマ」の先行研究の調査 沖縄各地に分布する民俗芸能の一つフェーヌシマ(南の島踊)。複数の人数で一組になって演じ、棒踊りの演舞が入ること、飛び上がる所作があること、奇声を発すること、意味不明の歌詞が歌われる等の特徴がある。フェーヌシマの芸態分類は棒踊りの一種である、という見解をとった先行研究が多い。これらの先行研究の事例を整理・分析した。 2,「フェーヌシマ」のフィールド調査 フェーヌシマに関する文献資料や映像資料を収集した。様々な文献を整理しながら、各フェーヌシマごとにケーススタディとして再整理・体系化している。関連資料の量では、名護市嘉陽、北中城村熱田、北谷町北谷が多く、文献が少ない恩納村仲泊、恩納村名嘉真、読谷村儀間などとの比較研究によって補完してゆく作業に入っている。特に芸態の比較作業を行なってゆくことで、類似した芸態や場の構成から、フェーヌシマの相関関係が見えてきた。また、分析を目的とした芸態記述は、「移動 Locomotion」、「所作 Gesture」、「姿勢(構え) Basic Skill」に留意しながら簡潔にまとめている。 以下は、その結果を踏まえて、フェーヌシマの分類を試みたものである。 分類A(場・棒・手モデル):名護市嘉陽、恩納村名嘉真、読谷村儀間、北谷町北谷 分類B(棒・手モデル):北中城村熱田、恩納村仲泊、金武町伊芸、名護市辺野古、那覇市安里 分類C(棒・劇モデル):石垣市新川、伊江島西江上 分類D(特殊モデル):竹富町小浜島、竹富町竹富、伊江島西江前 3,「フェーヌシマ」研究の今後の課題 文献資料・フィールド調査等から明らかになったことは、大正末から昭和初期の時期に、伝承が途絶えてしまった「南ヌ島」が多いことである。戦後に復活しても、定期的な行事での維持ができず、最近になって漸く継承団体が成立した事例が多く見受けられる。その中で、1991年から1993年の三年間連続した「全島南ヌ島大会」の果たした役割は非常に大きい。今後の研究課題として、「全島南ヌ島大会」が実施された1990年前後の伝承状況を調査し、フェーヌシマの芸態が互いに影響し合った経緯を分析して、フェーヌシマの芸態の体系化を目指したい。
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