2005 Fiscal Year Annual Research Report
16世紀の日朝陶磁史における「高麗茶碗」の生産と受容
Project/Area Number |
17720031
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Research Institution | The Association for the Advancement of Fine Arts, Osaka |
Principal Investigator |
片山 まび (財)大阪市美術振興協会, 学芸課, 学芸員 (80393312)
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Keywords | 茶碗 / 朝鮮時代 / 白磁 |
Research Abstract |
本年度は、基礎資料の確保に重点をおき、多少の変更はあったが、以下のとおり研究調査をおこなった。 国内調査 堺環濠都市遺跡と博多世紀群から出土した高麗茶碗の基礎的な調査をおこなった。16世紀の高麗茶碗とされているものが、「16世紀前半〜1580年代までの輸入品」「1580年代前後の注文品」「1580年代以後〜17世紀初の輸入品」から成り立っていることを確認した。 海外調査 朝鮮官窯博物館をはじめとする韓国側の研究者の協力により、大韓民国慶尚南道狭川・尚州・星州高霊などの地表調査をおこなった。いわゆる高麗茶碗をつくった茶碗の生産地や、日本にもたらされた16世紀の朝鮮陶磁の生産地が慶尚南道のなかでも、海岸地域に偏っていることを確認した。 その他の調査 その他の調査として、近世〜近代期の文献資料の収集や調査を行った。その結果、韓国で「軟質白磁」と称される白磁が、16世紀〜17世紀初頃の高麗茶碗の核をなしている可能性が導き出された。 次年度の課題として、生産地の特定と、多くの輸入品から茶碗がとりあげられた造形的な条件を考察することとした。
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