2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17720038
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Research Institution | Shohoku College |
Principal Investigator |
伊藤 善隆 湘北短期大学, 総合ビジネス学科, 講師 (30287940)
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Keywords | 近世文学 / 明末文化 / 漢文学 / 詩論 / 氷川詩式 / 童蒙詩式 / 林家林門 / 野間三竹 |
Research Abstract |
近世前期における明末文化の影響を検証するため、漢籍の書誌的調査とその内容についての考察・ならびに漢学者たちの伝記的調査とを行った。 書誌的調査として、まず菊池耕斎「本多美作守藤原忠相墓誌銘」(巻子本一巻)、『残虹集』(荻生徂徠・鞍岡蘇山・法雲明洞・深洲道祐・霊海実晏他筆、元禄十六年成、巻子本一巻)を調査することができた(いずれも個人蔵)。前者については、「菊池耕斎「本多美作守藤原忠相墓誌銘」の紹介」として、『湘北紀要』第28号(2006年3月)に発表した。後者は、柳沢吉保周辺の儒者と黄檗僧との贈答の詩懐紙を集めた資料で、現在その内容を調査中である。 また、前年の成果を引き継いで『童蒙詩式』の研究をすすめた。国立公文書館所蔵の徐師曾編『詩体明弁』(崇禎13年刊)、梁橋編『氷川詩式』(隆慶5年刊)など、明代の詩論書の内容について調査を行い、『童蒙詩式』の各条の典拠を具体的に確定することができた。その結果をふまえつつ、『童蒙詩式』の流布の状況や文学史的な意義を考察し、「『童蒙詩式』考-近世前期の漢詩作法書一斑-」として『近世文芸 研究と評論』第71号(平成18年11月)に発表した。 さらに、国立公文書館所蔵『鳳岡林先生全集』(林鳳岡資料)の調査を行い、複写物として収集した。 また、漢学者たちの伝記的調査のために、『梅洞林先生全集』(林梅洞資料)・『耕斎先生全集』(菊池耕斎資料)に収録された作品の分析を行った。この作業によって得られた情報を参照することで、当面の目標とする野間三竹の伝記的事項が、ある程度明らかになった。なお、今後もこの作業は継続する。
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Research Products
(2 results)