2005 Fiscal Year Annual Research Report
『源氏物語』『枕草子』における本文の変遷とその受容に関する研究
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17720040
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
新美 哲彦 呉工業高等専門学校, 一般科目, 講師 (90390492)
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Keywords | 源氏物語 / 本文・諸本 / 古注釈 / 青表紙本 / 伊予切 / 河内本 / 源典侍 / 今川了俊 |
Research Abstract |
平成17年度は基礎的な資料の収集を行った。 『源氏物語』では、伏見天皇本、中山家本、御物本、陽明文庫本、穂久邇文庫本、伝明融等筆本などの書籍を購入した。 また、国文学研究資料館、早稲田大学図書館マイクロ資料室において調査し、今後研究を進める予定の箒木・空蝉巻の、京都府資料蔵本、学習院大学日語日文蔵本、熊本大学北岡文庫蔵本三種、実践女子大学蔵伝明融等筆本、東山御文庫蔵七毫源氏、などの紙焼き写真を入手した。 『源氏物語』古注釈では、源氏物語古注釈叢刊、源氏物語古注集成のうち、入手可能なものはほぼそろえた。 研究としては、まず、『源氏物語』の古注釈である『光源氏物語抄』と『河海抄』の影響関係を精査し、現在投稿中である。 また、『光源氏物語抄』の一部が、傍注として書き込まれている今川了俊筆『源氏物語』古筆切(伊予切)についても研究し、来年度発刊される書籍に掲載予定の論文を二本執筆した。さらに、揺らぎ始めている「青表紙本系」の概念についても整理し、『国語と国文学』に掲載予定である。 すでに五本の論考をまとめている、『源氏物語』の河内本系と青表紙本系を校合し、その差異を読み解く作業を継続して行い、「本文の差異から読み解く源典侍」(『人物で読む源氏物語 朧月夜・源典侍』勉誠出版)と題した論文を執筆した。 8月31日〜9月3日には、オーストリアのウィーン大学で、11th International Conference of the European Association for Japanese Studiesが開催された。このCnferenceのPremodern LiteratureのSectionにおいて「The Debated Status of Aobyoshi Texts of Genji monogatari(揺らぐ青表紙本)」と題して発表を行い、海外の研究者との交流を深めた。 さらに、翻刻が公刊されていない、陽明文庫蔵『長珊聞書』の翻刻に、他の研究者とともに取り組み、順次公表予定となっている。
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Research Products
(1 results)