2006 Fiscal Year Annual Research Report
『源氏物語』『枕草子』における本文の変遷とその受容に関する研究
Project/Area Number |
17720040
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
新美 哲彦 呉工業高等専門学校, 一般科目, 講師 (90390492)
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Keywords | 日本文学 / 本文 / 受容 / 源氏物語 |
Research Abstract |
平成18年度は、17年度に収集できなかった資料の収集と、これまでの研究成果の発表を行った。 『源氏物語』では、天理図書館蔵『源氏物語』の複数の諸本の空蝉巻と箒木巻の紙焼き写真を入手した。また、高松宮家蔵河内本源氏物語や、天理図書館蔵源氏物語諸本集、了俊筆源氏物語空蝉、源氏物語断簡、源氏物語断簡集成などの書籍を購入した。 『源氏物語』享受に関しては、研究書や、古注釈である尋流抄などを購入した。 研究論文としては、「揺らぐ「青表紙本/青表紙本系」」(国語と国文学平成18年10月号)、「今川了俊筆『源氏物語』伊予切集成-新出断簡の紹介と傍記の性格-」(『平安文学の新研究-物語絵と古筆を考える』新典社)、「『光源氏物語抄』から『河海抄』へ-注の継承と流通-」(文学・語学186号)が公刊された。 また、空蝉巻の系統分類を、コンピュータプログラムでも確認した論考が『国語と国文学』に、了俊筆『源氏物語』夕顔巻を中心に夕顔巻の系統分類を行った論考が『講座源氏物語研究』に掲載予定である。 研究発表は二件行った。6月には、東京の国際基督教大学で10th Asian Studies Conference Japanが開催された。この会議で「Classification of Manuscript Texts of the "Utsusemi" Chapter in Genji Monogatari : A Trial Study」と題して発表を行い、海外の研究者との交流を深めた。9月には、中国・長春の東北師範大学で、国際シンポジウム「世界における日中文化と文学」が開催された。このシンポジウムで「今川了俊筆『源氏物語』傍注の性格」と題して発表を行い、主に中国の日本文学研究者と交流を深めた。 さらに、翻刻が公刊されていない、陽明文庫蔵『長珊聞書』の翻刻に、他の研究者とともに取り組み、順次公表予定となっている。
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