2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17720043
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
阿部 賢一 武蔵大学, 人文学部, 専任講師 (90376814)
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Keywords | 表象文化 / 移動文化 / プラハ / 移民 / 難民 |
Research Abstract |
本年度は、初年度ということもあり、基本的な情報収集を中心に研究を実施した。2005年6月には、パリとプラハにおいて海外調査を行い、パリでは資料収集を、プラハでは資料収集および学会報告を行っている。本年度のテーマは「ロシア難民のプラハへの移動」であったため、プラハへの亡命後にチェコ語作家に転向したニコライ・テルレツキーの作品を用いて、国民文学における亡命作家の位相を検討し、その成果は、2005年6月にプラハで行われた「チェコ文学世界会議」での報告「Recepce Nikolaje Terleckeho v Cechach」にまとめられている(近刊)。 また、2005年11月には、「亡命者」「難民」の表象に関する理論的な枠組みを考察するため、日本学術振興会「人文・社会科学振興のためのプロジェクト」研究領域V-1「伝統と越境-とどまる力と越え行く流れのインタラクション」第2グループ「越境と多文化」主催のワークショップ「亡命とテクスト-生産・消費・増殖」を企画・開催した。林みどり明治大学助教授、澤田直白百合女子大学教授らとテクスト内外で表象される「亡命」というタームについての意見交換を行った。 ケーススタディとしてテルレツキーの事例を扱い、また理論的な考察をワークショップを通じて行ったことで、次年度以降に展開される研究の基本的な導入部を達成することができたように思われる。 なお、本研究については、開設したHP(http://www.musashi.jp/~abe/kaken.html)を通じて、概要を公開し、研究成果の普及にも努めている。
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