2006 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀以降のアイルランド文学における文化と言語の多元性の研究
Project/Area Number |
17720054
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
池田 寛子 広島市立大学, 国際学部, 助教授 (90336917)
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Keywords | アイルランド文学 / アイルランド文化 / アイルランド語 |
Research Abstract |
1)アイルランドの首都ダブリンに調査滞在、資料収集した。 *国立図書館(ダブリン、アイルランド)での調査、資料収集 *ダブリン大学図書館(ダブリン、アイルランド)での調査、資料収集 2)大英図書館(イギリス、ロンドン)で資料収集 一連の図書館での調査を通じて、Jonathan Swiftやロマン派詩人シェリーがアイルランドの詩に与えた影響の手がかりを得た。Jonathan Swiftの詩篇の1726年版を入手し、読解に努めた。大英図書館でアクセス可能な十八世紀の資料、史料のうち、必要なものの一部を獲得した。 3)アイルランド語使用地区(ケリー州、ディングル半島)に滞在、資料収集した。 アイルランド語を基盤とする伝承や信仰についてアイルランド語使用地区で聞き取り調査を行った。民話『リアの子どもたちの悲劇』を中心に据えた論文「フィヌーラの声-アイルランドを越える『リアの子どもたちの悲劇』」の完成のための貴重な情報を得た。 4)帰国後、収集資料の編集作業を完了した。 デジタル録音した資料をCDとして加工した。デジタルカメラで撮影した文書資料めうち、必要箇所をワープロ入力した。 5)英文学とアイルランド語文学の相関関係を追及するための論文の構想を立てた。 W.B.イェイツの戯曲『王宮の門』は古いアイルランド語文学を下敷きにしているが、実際はイギリスのロマン派詩人シェリーの作品や散文「詩の擁護」の影響を強く受けていることを確認し、作品分析と資料解読に努めた。『王宮の門』と共通のテーマを扱った別のアイルランドの劇作品も手に入れた。それぞれの差異を追及していくことで、「自己犠牲としての死」をどう演出するかが当時イェイツにとっていかに重大な問題であったかを浮き彫りにしていく予定である。
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