2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本のシェイクスピア受容における影響のメカニズム-「影響の不安」を読み解く
Project/Area Number |
17720059
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
芦津 かおり Otani University, 文学部, 准教授 (30340425)
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Keywords | 日本文学 / シェイクスピア / 大岡昇平 / 『ハムレット』 / イギリス / 太宰治 |
Research Abstract |
平成20年度も引き続き、明治期以降の日本が西洋文学からうけた「影響」を読み解く試みを続けた。とくに文化的イコンとしての存在感がもっとも強い作家シェイクスピアの戯曲が、日本文学・演劇のさまざまなテキスト生成にどのような力や影響を及ぼしているかを具体的に考察し、複雑で多元的な影響のメカニズムの解明にずいぶん役立てることができた。 7月には西洋文学研究会(大谷大学)にて、また8月には、イギリスのオックスフォード大学で開催された開催された国際学会English Studies Nowにて、大岡昇平の『ハムレット』翻案小説である『ハムレット日記』についての研究を口頭で発表した。その成果は、ENglish Studies NOw(Tbilisi State University Press, 2009)に掲載される。本研究においては、『ハムレット日記』が、作者大岡のきわめて個人的主題追及の場となっているだけではなく、より大きな政治的背景をきわめて興味深い形で映し出した小説となっている点をも明らかにした。 さらに年度後半からは太宰治『新ハムレット』の研究に着手している。大岡昇平とはまったく異なる形で『ハムレット』を翻案かする太宰作品のなかに、西洋やシェイクスピアの「影響」の新たな痕跡が見て取れる。さらに研究を進めて、2009年8月にイギリスで開催される国際学会(English Studies Now)にて研究発表をする予定である。
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Research Products
(3 results)