2006 Fiscal Year Annual Research Report
『元史』の志と表の再編纂-大元ウルスの政治と文化の解析-
Project/Area Number |
17720067
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮 紀子 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (60335239)
|
Keywords | 大元ウルス / 『農桑輯要』 / 禅宗 / モンゴル / 中央アジア / 碑刻 / 外交 / ジャムチ |
Research Abstract |
『元史』の「釈老伝」、「芸文志」の再編纂のために継続中の、京都五山の建仁寺は両足院での漢籍、抄物の調査の成果の一端を、京都大学大学院文学研究科国語国文学研究室の木田章義教授、朴真完ほか大学院生とともに、平成18年度東方学会関西部会(5月27日開催)において、「両足院-学問と外交の軌跡-」と題する展示会を企画、立案、カタログを作成したさいに、公開した。カタログの内容は、禅宗史、書誌学等の分野において、じゅうらいまったく言及されていない事実、貴重書を紹介することに主眼を置いた。展示会の書籍選定、予行演習等、準備には、半年を要した。「地理志」の再編纂、ジャムチ(駅伝)地図の作成を目的のひとっとして、8月22日から9月6日まで、中央アジアのウズベキスタン、カザフスタン、中国の新彊ウィグル自治区において、13-15世紀のモンゴル、とくにチャガタイ・ウルスと大元ウルスにかかわる遺跡の調査、資料、情報の収集を行った。そこで得られた知見の一端を11月23日、同志社大学薪島会館において、京都橘大学の小野浩教授とともに「13-15世紀の遺跡をめぐって」、「農業からみた遊牧国家」と題するふたつの共同報告において発表、さらに後者については今年度より収集を開始したモンゴル時代のペルシア語資料も用いながら「『農桑輯要』からみた大元ウルスの勧農政策」と題する論文においてより詳細に解説した。また、クビライ初期の政治、外交、軍事、財政等、根本的な問題を総合的に考えるさい鍵となる重要な碑刻について数回にわたり、京都大学大学院文学研究科において報告発表の機会をもったこの成果は近く公開の予定である。
|