2005 Fiscal Year Annual Research Report
オセアニア・南太平洋の先住民文学文化と移民文学の研究
Project/Area Number |
17720068
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小杉 世 大阪大学, 大学院・言語文化研究科, 助教授 (40324834)
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Keywords | オセアニア(ニュージーランド:パプア・ニューギニア:サモア:オーストラリア) / 先住民文学文化 / 南太平洋移民 / マオリ(語) / 先住民言語文化教育 / アボリジニ / 地域社会 / メディアと文化形成 |
Research Abstract |
今年度は、オセアニアの先住民・移民文学の現在の出版事情を調査し、そこに描かれる社会問題や歴史を考察、その成果は、2ヶ月ごとの連載記事(『英語青年』海外新潮欄)に発表した。具体的には、サモア人作家A.ウェンツの最新作The Songmaker's Chair(2004)に描かれる南太平洋移民のアイデンティティの問題について、ニュージーランド(以下NZ)の先住民芸術を促進する組織トイ・マオリ・アオテアロアがカナダや豪州の先住民作家を招待してマオリ作家と共にパフォーマンスやシンポジウムを行う催しを例とした先住民作家の国を越えた連携、アボリジニ作家によるベトナム戦争の記述、P.グレイスの最新作Tu(2004)などマオリ作家による両大戦のマオリ部隊についての記述と国家アイデンティティの問題について、W.イヒマエラの最新作Band of Angels(2005)にみられる地域性とグローバルな要素とのバランスについて、独立30周年のパプア・ニューギニア(以下PNG)の作家たち、R.ソアバ、R.ステラ、S.ウィンドゥオの創作活動や地域社会における識字運動と言語事情、若手作家養育の創作コンテストについて、NZ先住民言語教育の現状とメディア(マオリ放送)によるマオリ文化の再形成の可能性について論じた。8月下旬からPNG1週間、NZ1ヶ月の調査旅行を行った。PNGでは、大学で創作コースを教えるS.ウィンドゥオやR.ソアバに会い、最近の出版物と今後の創作活動の展望、米国や豪州との関係について、インタビューを行った。NZではワイカト大学でマオリ語の授業を聴講し、マオリ語トータルイマージョンの幼稚園(コーハンガ・レオ)や小学校(クラ・カウパパ・マオリ)を訪問、先住民言語文化教育の現状を調査した。マオリ語通信教育では第2教程を終え、フィールドワークに必要な言語能力の3、4割を達成した。
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