2006 Fiscal Year Annual Research Report
中世から近代インドへの韻文の流れ-マートラー韻律の構造の解明-
Project/Area Number |
17720069
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
長崎 広子 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (70362738)
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Keywords | インド学 / 韻律 / 詩論 / コーパス |
Research Abstract |
ヒンディーの詩形の起源を探るために、プラークリットの詩論書『プラークリット・パインガラム』に記述があるヒンディーのマートラー韻律の詩形を調べ、ヒンディーの詩論書("Kavya prabhakara" by Jagannathaprasada ‘Bhanu')との比較分析を行った。 昨年度に引き続き、インド(ベナレスのナーガリープラチャーリニーサバー)で現地調査を行い、写本と古い資料を閲覧した。 また、現地調査では朗唱者による韻律の朗唱を録音し、マートラー韻律のそれぞれの詩形の定義と朗唱のサンプルを大学の公開用サーバーで公開した。 マートラー韻律の標準的な詩論書の規定方法の違いに注目しながら、それぞれの詩形の法則をプログラミング処理用に定式化する作業を行い、韻律構造を計算するとともに視覚化して表示するアプリケーションを開発する作業を行った。 本研究に協力する意図で、オランダのライデン大学Arlo Griffiths教授から提供された、"Mrigavati"(1531) by Kutubanの電子テキストを、ヒンディーのマートラー韻律の特徴のひとつである脚韻の起源についてペルシャ詩の影響を検討するための資料として、同サーバー上で公開した。 また、ヴィシュヌ派クリシュナ信仰の韻律の特徴を検討するための資料として、"Sursagar" by Surdasを電子テキスト化する作業を行い、ほぼ完成させた。公開は来年度の予定。 本研究で得られたこれまでの成果をインドのヴリンダーヴァンで開催されるバクティ学会で発表する予定であったが、学会が延期されたため詳細については発表できなかった。なお、日本南アジア学会大会前日企画(南アジア関係科研プロジェクト)にて、これまでの経過報告を行った。
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