2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17720073
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高屋 亜希 早稲田大学, 文学学術院, 助教授 (20277784)
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Keywords | 中国現代文学 / 大衆文化 / 日中相互イメージ |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、21世紀以降の同時代中国における文化・社会現象について、広範な見取り図となる基礎研究資料『Chinese Culture Review(中国文化総覧)』vol.3を翻訳・出版した。現在、vol.4の翻訳作業を進めているところであり、今後ともこの分野における研究情報プラットフォーム構築に努める予定である。また音楽・映像・イメージなど多領域にわたる同時代中国文化についての批評を順次、翻訳・出版する予定であり、本年度はその翻訳作業に着手した。 また同時代中国における若者向け大衆文化について、本年度も青春小説を題材に具体的な分析を行い、「孫睿"青春三部作"に見る「虚無」の位置づけ:<存在の耐えられない軽さ>への抗い」と題する論文を発表した。20〜21世紀転換期の社会変化によって、モラトリアム期の若者が初めて大量に発生したことを受けて,社会的ポジションを探しあぐねる若者たちが、自らが置かれたモラトリアムの状況を「虚無」として認識し、且つ「虚無」が新しい風俗としてファッショナブルなニュアンスを帯びていること等を指摘した。また更に同論文中で、「虚無」を描く際にはミラン・クンデラ等が参照されている可能性に触れたが、この点については21世紀中国で起きた大衆的クンデラブームを理解する糸口になると思われるため、今後さらに分析を続けていく予定である。
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Research Products
(5 results)