2006 Fiscal Year Annual Research Report
現地調査とデータベース作成によるアバール語の現状と変容に関する社会言語学的研究
Project/Area Number |
17720076
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
山田 久就 小樽商科大学, 言語センター, 助教授 (60345246)
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Keywords | アバール語 / ダゲスタン諸語 / コーカサス諸語 / 語彙 / 語形変化 / 現地調査 / データベース / ロシア |
Research Abstract |
アバール語のヒダス方言に関して語彙、語形および動詞と名詞の結びつき(どのような動詞がどのような格の名詞と結びつくかなど)等について調査・研究を行った。また、ヒダス方言との比較対象である標準語に関しても同様の調査・研究を行った。 ・8月30日〜9月29日の期間および2月25日〜3月23日の期間にロシア連邦ダゲスタン共和国マハチカラ市およびモスクワ市で調査および資料収集を行った。マハチカラ市では、ヒダス方言および標準語の語彙、語形および動詞と名詞の結びつき等に関して母語話者に対して質問形式の調査を行った。モスクワ市では、ロシア国立図書館等でアバール語および他のダゲスタン諸語に関する資料収集を行った。 ・ヒダス方言に関して、標準語との違いに注意しながら、動詞、名詞、形容詞がどのような変化の形、型(動詞では時制、法、形容詞的分詞、副詞的分詞他、名詞では格、数他)を持っているのかに関して網羅的に調査・記述・分析を行い、ヒダス方言と標準語とでは動詞の変化のパラダイム等でかなりの違いがあることが明らかになった。 ・ヒダス方言および標準語の動詞、形容詞、名詞の語彙表に関して、再点検・修正を行うとともに語彙の追加、新たな項目の追加を行った。 ・ヒダス方言の電子テキストの分析を行い、文字化における現時点での問題点を明らかにし、多少の修正を行うとともに今後行うべき修正点を整理した。 ・動詞と名詞の結びつきに関して、特に接触動詞(「さわる」、「たたく」などを意味する動詞)を問題にし、ヒダス方言と標準語の格枠組み、格枠組みの交替などに関して記述・分析を行い、ヒダス方言と標準語で違いがあることが明らかになった。 ・ヒダス方言は標準語と比べて、本動詞と補助動詞との間で、音韻レベルでの単一化が頻繁に起こることが明らかになった。
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