2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17720083
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
勝川 裕子 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 助教授 (40377768)
|
Keywords | 現代中国語 / 領属表現 / 認知 / 統語 |
Research Abstract |
本研究は、これまでの先行研究において個別的な事象の指摘に留まっていた言語現象について、領属範疇の観点から捉えなおし、より包括的な分析を進め、最終的には中国語話者の「領属」に対する認知パターンとそのプロトタイプ効果を明らかにすることを目的としている。 平成18年度は、これまでの研究で明らかとなった言語事象を総括し、現代中国語における領属範疇の体系化を試みた。また、領属の不可譲渡性の観点から、領属タイプを連続的に位置づけ、これを「領属モデル」として提示した。 <現代中国語における領属モデル> 身体部位 > 属性 > 装着類 > 人間関係 > 一般領属物 本研究で提示した「領属モデル」にはプロトタイプ効果が認められるが、このような認知パターンにみられる階層性、及びそのプロトタイプ効果は、中国語話者の領属に対する一般的な認知能力に依拠するものであり、これが言語構造に反映され、統語的振舞いの相違として現れることになると結論付けた。 また、現代中国語における可譲渡性(inalienability)の階層が、世界の大多数の言語のそれとは異なると従来指摘されてきたことに対し、本研究で提示した「領属モデル」がHaiman1985の示すモデルと類似する階層を示しており、決して特異な様相を呈しているわけではないことを指摘し、以上を博士論文「現代中国語における『領属』の諸相」として発表し、名古屋大学大学院国際言語文化研究科において博士学位を取得した。 論文執筆にあたり、日中対照言語学会第15回大会(2006.6.3.於大東文化大学)において口頭発表し、他研究者との意見交換を図った。
|
Research Products
(1 results)