2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17720085
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 彰 大阪大学, 言語文化研究科, 助教授 (90312438)
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Keywords | 剽窃 / 引用 / 談話分析 / 大学 |
Research Abstract |
研究計画に基づき、本年度は以下の二つの調査を行った。まず、日本の大学における倫理規定を調査したところ、剽窃に関する明確な規定が公開されていない場合が多かった。規定が存在するのか尋ねてみると、まだ制定されていないもの、大学としては制定されていないが部局で制定しているものなど、ケースバイケースであることがわかった。一方、アメリカの大学では規定を公開している場合が多かった。なお、日本の大学であっても、情報リテラシーのためのウェブチュートリアルシステムで剽窃について教育しているところもあり、大学により大きな違いがあることがわかった。次に、ある研究大学(日本)の学部生に対し、剽窃に関する彼らの経験・知識・意識を尋ねるアンケート調査を実施した(これはまだ一部であり、これから更に調査を行う予定である)ところ、ほとんどの学生がこれまで剽窃について学んだことがなく(あるといってもニュースや新聞記事に接した程度)、また他人のととばをそのまま使うことや情報源を示さないことを適切であるとするなど、不正確な知識をもっていることがわかった。さらに、これまで収集した回答においては「剽窃が意図的であれば悪いことだが、意図的でなければ悪いことではない」という(誤った)考えに近いとする学生の方が、「意図的であろうがなかろうが、剽窃は悪いことである」という(正しい)考えに近いとする学生より多いことがわかった。このような知識や意識では、将来剽窃を行ってしまう危険性が高いと思われる。
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