2006 Fiscal Year Annual Research Report
マルト語文法の記述的研究とマルト語コーパスの作成・公開
Project/Area Number |
17720090
|
Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
小林 正人 白鴎大学, 経営学部, 助教授 (90337410)
|
Keywords | 歴史言語学 / ドラヴィダ語族 / マルト語 / フィールドワーク |
Research Abstract |
昨年度に基礎語彙と短文を収集したことにより、本年度はようやくマルト語の録音を聴いて理解できるようになった。そのため、採集した録音を書き起こして語註と訳を付けるという、コーパス作成の作業に本格的に着手することができた。8月まではそのように書き起こしを行い、9月にインド・ジャールカンド州パークル県、サーヘブガンジ県、ゴッダー県で行った現地調査において話者と面談し、書き起こした内容を確認して訂正した。またそれと同時に、パークル県リティパラ警察管内マリパラ村とモクリ村、マヘーシュプル署管内アムラーガチ村、サーヘブガンジ県ポリオ署管内バンダルコラ村において、文法の聞き取り調査と短文や民話などの録音を行った。さらにクマールバーグ方言を話す、であるパークル県ヒランプル署管内パデルコラBを訪ね、文法調査と言語データ採取を行った。帰国後データの整理を進め、クルフ語・マルト語諸方言の比較活用表を完成させた。 本年度の調査で明らかになったことは、マルト語には従来考えられてきた方言以外に少なくとも12種の方言があり、それらは発音、形態、語法のすべてにおいて大きく異なっているということである。このことによって、姉妹言語のクルフ語との祖形再建が進むばかりでなく、ドラヴィダ祖語の形態を理解する上でも新たな資料が提供されることになる。 書き起こした録音、および新種の方言に関しては、それぞれResearch on Minority Languages of South and Southeast Asia : Working Papers 2に共著・単著として発表した。
|