2006 Fiscal Year Annual Research Report
談話機能を担う現代朝鮮語の文末形態に関する研究-情報と記憶の観点から-
Project/Area Number |
17720096
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
平 香織 沖縄国際大学, 総合文化学部, 講師 (40389614)
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Keywords | 朝鮮語 / 談話機能 / 文末形態 / 終結語尾 / 会話資料 |
Research Abstract |
研究計画2年目に当たる平成18年度は平成17年度に引き続き,終結語尾'-ketun'の分析をさらに進めた。具体的な内容は以下の通りである。 韓国ドラマ・映画のシナリオデータ(2.90MB)を使用し,共起関係・発話順序・推測機能の3つに焦点を当ててその意味と語用論的特徴を考察した。まず,共起関係から見られる'-ketun'の特性として'-ketun'が非過去形である動詞と共起する場合には発話時以降の動作を表さず,動作性が失われることを明らかにした。次に発話順序に着目し,質問に「間接的に答える場合」と話し手の一連の発話中「前の発話」で使用される'-ketun'には,後に続くであろう話し手の発話を聞き手に推測させる機能が見られることが分かった。そして発話順序で観察された推測機能を基に,これまであまり違いが明らかにされてこなかった'-e'との置換可否について分析を行った。その結果,推測させる内容が聞き手への要求の場合は'-e'との置き換えが可能であるのに対して,要求ではなく情報の場合には置き換えが困難であることが観察された。この考察は,本研究が掲げている「「情報」と「記憶」という観点から文末形態の機能をどの程度,説明が可能であるか」という課題の「情報」と密接に関連するものである。上記の内容は学術論文『〓〓〓〓31』(『韓国語学31』)に掲載された。 また韓国で文末形態に関する文献を収集するとともに,韓国語母語話者の協力を得て,大学生の会話の録音・テープ起こし作業,及び韓国語のドラマ・映画のシナリオをテキストファイル化する作業も継続して行っている。
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