2007 Fiscal Year Annual Research Report
談話機能を担う現代朝鮮語の文末形態に関する研究-情報と記憶の観点から-
Project/Area Number |
17720096
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Research Institution | Kanda University of International Studies |
Principal Investigator |
平 香織 Kanda University of International Studies, 外国語学部, 講師 (40389614)
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Keywords | 朝鮮語 / 談話機能 / 文末形態 / 終結語尾 / 会話資料 |
Research Abstract |
最終年度に当たる平成19年度は,数ある終結語尾のうち'-e'に焦点を当て考察を行った。また韓国ドラマ・映画のシナリオのデータベース化,自然会話の収集・テープ起こし作業を引き続き行った。具体的な内容は以下の通りである。 朝鮮語の終結語尾のうち,中立的な形態とされる'-e'は文脈や抑揚によって「叙述」「疑問」「命令」「勧誘」という少なくても4つの意味のいずれかが付与される。このうち一定の条件の下で「話し手の意志」が現れるのは叙述文として使用されるものであり,叙述文が意志を表すのは日本語においても見られる現象である。本研究では,これまで殆ど指摘されてこなかった「話し手の意志」を表す場合に使用される'-e'の特徴について,同じ待遇レベルに属する'-1key'と比較して考察した。その結果,話し手と聞き手の関係がよくない場合には'-e'を使用した意志表示が可能であるが,'-1key'の使用は困難であること,意志よりも話し手の予定の意味合いが強く,かつその予定を聞き手が知らない場合には'-1key'が使用しにくいことが明らかとなった。上記の内容は『韓国語学年報3』に掲載され,慶煕大学校(韓国)で行われた国際学術大会(2007.8)で発表した。 また,韓国人母語話者の会話の収集・テープ起こし作業を行った。そしてこれまで収集した自然会話の検討・考察を進めており,'-e'が最も高い頻度で使用されることが確認できた。
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