2005 Fiscal Year Annual Research Report
英語における形容詞が関わる構文の意味的ネットワークについて
Project/Area Number |
17720120
|
Research Institution | Iwate prefectural university,Miyako college |
Principal Investigator |
金澤 俊吾 岩手県立大学宮古短期大学部, 経営情報学科, 講師 (70341724)
|
Keywords | 英語 / 形容詞 / 転移修飾構文 / 修飾関係 / 使役 / 事象 / クオリア構造 / アフォーダンス |
Research Abstract |
John smoked a sad cigarette.(Johnが悲しいタバコを吸った)に代表される転移修飾構文(Transferred Epithet)において、形容詞が後続する名詞を修飾する形式であるのにも関わらず、意味上は主語名詞の状態を表すという、転移修飾構文に見られる形式と意味の「ズレ」とその意味的特徴について考察してきた。 その結果、転移修飾構文を形成する際に、目的語名詞として機能する名詞の語彙的意味が重要な役割を果たしていることが明らかになった。特に、転移修飾句として機能する形容詞の修飾対象は、当該名詞から喚起される動作の動作主であり、転移修飾構文に生起する動詞は、典型的には目的語名詞から喚起される動作を具現していることが分かった。名詞から動作が喚起されるということは、生態心理学においてGibsonが提唱しているアフォーダンス(affordance)という人間の認知システムから動機づけられる。また、当該名詞の意味を表示する際には、Pustejovsky(1995)におけるクオリア構造(Qualia Structure)が有効である。 この議論をさらに発展させていくと、形容詞によって示される事象と、名詞から喚起される動作によって示される事象との間に、時間の先行関係と使役関係がみられ、その関係によって、いくつかのパタンに分類される。また、これらの関係は、形容詞の前位用法(attributive use)に固有にみられるのではなく、叙述用法(predicative use)にもみられ、形容詞が他の要素と修飾関係を結ぶ際にみられる一般原理から説明が可能であると予測される。そこで、次年度は、転移修飾構文に加えて、分析対象を形容詞を伴うWay構文や軽動詞(light verb)構文にも拡大して[形容詞-名詞]の修飾関係に関する一般化および、形容詞が他の要素を修飾する際にみられる一般化を図る。
|